「ピタゴラスイッチ」 はどのように生まれたのか。佐藤雅彦の世界初の大規模個展が横浜美術館で11/3(月・祝)まで開催中!
横浜美術館
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横浜美術館では、2025年6月28日(土)から11月3日(月・祝)まで「横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)」を開催しています。
佐藤雅彦氏は、もしその名前に聞き覚えがなかったとしても、NHK教育テレビの人気番組「ピタゴラスイッチ」はじめ、佐藤氏の生み出した作品を知らない方はいない、そう断言できる稀代の表現者です。
今回の展覧会は、40年に及ぶ佐藤氏の創作活動の軌跡をたどりながら、作品を生み出す過程、その「作り方」(独自の方法論)に焦点を当てた、一般的な個展とは一線を画すイベントです。
世界初!巡回なし!横浜に来なければ見られない、同展覧会。
半日、一日かけてじっくり楽しめるその見どころを、レポートします!
◆はじめに:佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)について
「ピタゴラスイッチ」「だんご3兄弟」「スコーン」など数々の名作がひとりの人から生まれたのはご存知ですか?
表現者・佐藤雅彦氏は、記憶に残るテレビCMやキャラクター、知的好奇心を刺激する映像作品など、多くの作品を世に送り出してきました。この展覧会では、佐藤氏のさまざまなコンテンツを紹介し40年にも渡る創作活動の全貌を明らかにします。
さあ、その名作の数々と、誕生の経緯を紐解いていきましょう。
◆展示室1 数々の名作とその「作り方」
まず、最初の展示室では、佐藤氏が手がけたCM、ポスター、教育番組、ゲーム、音楽などの代表作がずらりと並びます。
NHK教育テレビの人気番組「ピタゴラスイッチ」
社会現象にもなった「だんご3兄弟」
耳に残るキャッチーなリズムが印象的な「ポリンキー」や「バザールでござーる」等のテレビCM
人気を博したプレイステーションソフト「I.Q Intelligent Qube」等々。
ジャンルを超えた作品群に「これも佐藤さんの!?」「同じ人が⁉」と驚くこと間違いなし。

誰もが一度は目にしたことのある名作の数々を見ているだけでもワクワクしますが、さらに、その作品の“作り方”に迫ることができる、ユニークな展示の数々です。

CMプランナー時代、畑違いからの人事異動で苦労していた際に確立していった、「作り方を作る」という独自の方法論。
その代表的な二つのルール「表現方法①ルール」と「表現方法②トーン」について、映像やスケッチ、アイディア、エピソード等を通して知ることができます。
方法論をもとに、作品が結実するまでの過程を見られるのが、この展覧会の醍醐味です。

佐藤氏は、作品を作る際、まず、「作り方を作る」ことから始めるそう。「作り方が新しければ、自ずとできたものは新しい」とも語られています。
佐藤氏独自の哲学を知ることで、なぜ幅広いメディアで数々の名作を残すことができるのか、合点がいきました。
◆展示室2 童心にかえる特別展示「ピタゴラ装置の部屋」
次の展示室に進むと、NHK教育番組『ピタゴラスイッチ』でお馴染みの「ピタゴラ装置」が実物展示されています。しかも4台も!
テレビ画面で見ていた装置を目の前で鑑賞でき、その仕掛けの巧妙さに驚かされます。壁2面にわたり、実際に装置が動く様も放映されていて、子どもはもちろん、大人も釘付けになってしまう空間でした。

佐藤氏が長年、海外出張時などに蒐集してきたユニークでかわいい、文具や生活雑貨の数々が装置に活用されていたとは驚きです。
物理の原理を駆使した装置を観察しながら、「なぜ動くのか?」と「考える」時間も面白く、「わかる!」ことの楽しみも味わえます。
子どもも大人も、夢中になること間違いなしです。
◆展示室3 「本当にやりたかったのは、教育」
最後の展示室では、佐藤氏の教育活動を中心に、慶應義塾大学での研究成果や、学生たちと作り上げた作品が紹介されています。

佐藤氏は、自身の創作活動について、「本当にやりたかったのは、教育」と語っています。
展示を見ていると、単に知識を教えるのではなく、ものごとの考え方を教えることに関心をもっていたことが、伺えます。
また、佐藤氏は常々、「どうしたら、あることを伝えることができるか」「どうしたら、あることを分かってもらえるか」そのことを追求してきたとも語られています。
教えることは、ある意味、伝えることとも言える。筆者はそう考えるので、教える現場で、どのように作品が生み出されてきたのか、興味深く見入ってしまいました。

◆意識を、生活をデザインする《計算の庭》と《指紋の池》
展示室以外では、《計算の庭》や《指紋の池》といった、佐藤氏の「意識をデザインする」をコンセプトにしたインタラクティブアートも見逃せません!
《計算の庭》は、桐山孝司氏との共同制作作品で、数字を使い、体験的、視覚的に計算の世界を楽しめるインタラクティブアートです。
入り口で渡されるナンバーカードを使って計算をしながら、展示内を探検し、数字や数学の新たな魅力を体感できます。
《指紋の池》は、自身の指紋というまさに「個性」の象徴といえるアイテムをつかった作品です。自分の指紋をデジタルで登録、視覚化し、自由に泳いでいく様を見ているだけで不思議な感覚を覚えます。
さらに、自分の指紋を自分のもとに呼び戻すこともでき、普段は気にも留めていなかった指紋に、初めて?愛着を感じ、感動の再会を果たせます!
新たな気づきや感覚、感動をもたらすインタラクティブアートです。
◆まとめ
美術館を出た後に、こんなにも、やる気が起きた体験は初めてです。
佐藤氏の確立した方法論を体感したことで、今後自分なりの方法論を生み出していけば、たとえ画才がなくても、音楽的センスがなくても、「自分にもできそう!やってみよう!」とものづくりの活力がわくのです。
創造の本質に迫る知的な体験!出口を出たときに、きっと世界が違って見えるはずです。
リピート必至なので、家族や友人と一緒はもちろん、一人でじっくりなど、ゆっくり時間をとり、何度も訪れてみてください。巡回なしの大規模個展なので、横浜へ来なければ味わえません!
グッズ、図録、併設カフェのコラボメニューのチェックもお忘れなく。
― 概要
【開催概要】
名 称:横浜美術館リニューアルオープン記念展 佐藤雅彦展 新しい×(作り方+分かり方)
会 期:2025年6月28日(土)~11月3日(月・祝)
休 館:木曜日
時 間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
場 所:横浜美術館
観覧料:一般 2,00円 / 大学生 1,600円 / 中学・高校生 1,000円 / 小学生以下 無料
<お問合せ>
横浜美術館 TEL: 045-221-0300
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港ヨコハマに流れ着いた引っ越し多めのバガボンド。
MBTI診断は冒険家型。趣味は旅行(建築探訪、史跡巡り)、数独、野球、相撲、洋画、洋楽。
好きな横浜スポットは、ナイターに浮かび上がる横浜スタジアム、街中のオアシス元町公園水泳場。
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