横浜みなと博物館 横浜に暮らし、船を描き、アンクルトリスを生んだ 柳原良平展10/13(月・祝)まで

横浜みなと博物館

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横浜みなと博物館 横浜に暮らし、船を描き、アンクルトリスを生んだ 柳原良平展10/13(月・祝)まで
横浜みなと博物館 横浜に暮らし、船を描き、アンクルトリスを生んだ 柳原良平展10/13(月・祝)まで

横浜みなと博物館では、2025年10月13日(月・祝)まで、柳原良平 没後10年 企画展「柳原良平をかたちづくるもの ― 船・アンクルトリス・そして横浜」が開催中です。

柳原良平氏は、生涯 船を愛し、自らの分身のようなアンクルトリスを描き、そして横浜を‘母港’として暮らしていました。
約10年ぶりとなる大規模な展覧会では、約400点もの作品が展示され、その約4割が初公開です。

柳原良平氏を「かたちづくる」多彩な作品、そして作風の変化も味わえる企画展の見どころをレポートします。

◆ 柳原良平をかたちづくるもの① 船

柳原良平という画家をご存知ですか?
横浜銘菓「ありあけハーバー」の船をモチーフにしたパッケージデザインで今も親しまれ、その「ハーバー」のパッケージにも描かれているように、柳原良平といえば、船!
船や港をテーマにした作品で知られています。

柳原良平ワールドの航海へいざ!
柳原良平ワールドの航海へいざ!

船好きの片鱗は、幼少期から表れ、子どもの頃にクレヨンで描いた船に始まり、高校生の頃には船舶同好会をつくり、仲間と船をスケッチしたり、船の魅力を広めていたそうです。

高校時代の船舶同好会の機関誌「航跡」など
高校時代の船舶同好会の機関誌「航跡」など
初公開のノート
初公開のノート

実際の船が完成・就航する前に、図面からその船の絵を描いていたほどで、いかに船の構造を理解していたか、船が好きだったか、伝わってきます。

約25年ぶりに公開される、大学時代の絵「あとらす丸」(1950年頃) 貴重な初期の作品も並びます
約25年ぶりに公開される、大学時代の絵「あとらす丸」(1950年頃) 貴重な初期の作品も並びます
「高校時代の船ともだち」など
「高校時代の船ともだち」など

そんな船好き青年が、どのようにして船の絵を仕事にしていったのでしょうか?
そのことも、海運大手の大阪商船との縁を含め、展示で詳しく知ることができます。

約25年ぶりに公開される、株式会社商船三井所蔵の「The country of the rising sun Japan!」原画(絵と切り絵を組み合わせた作品)、とポスター
約25年ぶりに公開される、株式会社商船三井所蔵の「The country of the rising sun Japan!」原画(絵と切り絵を組み合わせた作品)、とポスター
大阪商船(現 商船三井)のリーフレットや「アリゲータ・マーク」のロゴ等を手がけた
大阪商船(現 商船三井)のリーフレットや「アリゲータ・マーク」のロゴ等を手がけた

初めて手掛けた絵本「たぐぼーととのいちにち」などの原画
初めて手掛けた絵本「たぐぼーととのいちにち」などの原画
船が仕事になったと自覚したのは「船の本」の出版から。初公開の原画の展示
船が仕事になったと自覚したのは「船の本」の出版から。初公開の原画の展示

今回の企画展では、制作活動の核となる「船」の絵を、切り絵、油彩画、水彩画、ペン画、リトグラフと、作風の変化も交えて通覧することができます。

ペン画や切り絵をなど
ペン画や切り絵をなど
油彩画。作風の変化を通覧できます
油彩画。作風の変化を通覧できます

一隻ごとに異なる船の美しさを写実的に表現した原点から、躊躇なく自らの表現方法を変え、モダンで現代的な作品も生み出していきました。
自由な気風と作品の変化が見て取れる展示です。

変化する作風や船の絵は、55歳を超えてから挑戦したリトグラフからも感じ取れます
変化する作風や船の絵は、55歳を超えてから挑戦したリトグラフからも感じ取れます
2001年、東海汽船の高速船アルバトロスのカラーリングを依頼されたことも、作風の変化への契機に
2001年、東海汽船の高速船アルバトロスのカラーリングを依頼されたことも、作風の変化への契機に

油彩「TORM BORNHOLM」 同じようなモチーフでも全く異なる描き方がハッキリわかります
油彩「TORM BORNHOLM」 同じようなモチーフでも全く異なる描き方がハッキリわかります
油彩「コンテナ船 船出」
油彩「コンテナ船 船出」

◆ 柳原良平をかたちづくるもの② アンクルトリス

お酒を飲まない方でも、サントリーのウィスキー「トリス」の広告キャラクター「アンクルトリス」はご存知なはず。

油彩「アンクルトリス」 船長服を着ていますね
油彩「アンクルトリス」 船長服を着ていますね
切絵で作られた「洋酒マメ天国」の原画の数々
切絵で作られた「洋酒マメ天国」の原画の数々

このアンクルトリスは、サントリーに入社した柳原良平氏によって生み出されたキャラクターで(コピーライターは開高健氏、CMプランナーは酒井睦雄氏)、ユニークなデザインとユーモラスな表情が人気を博し、柳原良平を一躍有名にしました。

アンクルトリスは、広報誌「洋酒マメ天国」やノベルティにも起用され、今も、サントリーの顔と言える存在です。

36冊刊行された「洋酒マメ天国」の原画が初公開
36冊刊行された「洋酒マメ天国」の原画が初公開
広報誌「洋酒天国」
広報誌「洋酒天国」

サントリーの広報誌「洋酒とカクテル」「洋酒マメ天国」などに登場するアンクルトリスの原画約 100点が初公開されているのも見逃せません!

◆ 柳原良平をかたちづくるもの③ 横浜

柳原良平氏は、1964年、港と船が見える横浜山手に転居し、横浜の港と行き交う船の作品を描きました。

富士山とランドマークタワーを背景にした、100号の油絵「飛鳥入港」
富士山とランドマークタワーを背景にした、100号の油絵「飛鳥入港」
初公開の油絵「東京オリンピック大桟橋に客船集合」 1964年の東京オリンピックの際にホテル不足解消のために横浜港に停泊したホテルシップを描いています
初公開の油絵「東京オリンピック大桟橋に客船集合」 1964年の東京オリンピックの際にホテル不足解消のために横浜港に停泊したホテルシップを描いています

横浜の地域に根差して暮らし、帆船日本丸の横浜誘致運動や、横浜マリタイムミュージアム(現 横浜みなと博物館)の開館に尽力するなど、横浜の港と街づくりに深く関わっています。

今では横浜の顔とも言える「みなとみらい21」地区の名前は公募でしたが、数ある候補の中から、選考委員の柳原良平氏が拾い出したのが「みなとみらい」だったとか。

リトグラフ「飛鳥」
リトグラフ「飛鳥」
油彩「にっぽん丸」 背景のランドマークタワーは建設中
油彩「にっぽん丸」 背景のランドマークタワーは建設中

柳原良平氏は 2015年に逝去するまで、半世紀余り暮らした横浜で、港や海にまつわる作品を数多く遺し、その想いや功績は、今も横浜の街に根付いているようです。

行きつけの’もとまちユニオン’の広告チラシなども手掛けた
行きつけの’もとまちユニオン’の広告チラシなども手掛けた
約25年ぶりに公開される、横浜市立元街小学校所蔵の油彩「横浜港大桟橋より神奈川県庁、開港記念会館を望む」
約25年ぶりに公開される、横浜市立元街小学校所蔵の油彩「横浜港大桟橋より神奈川県庁、開港記念会館を望む」

◆ まとめ

柳原良平氏の創作活動の核となった「船・アンクルトリス・横浜」。
それらを余すことなく堪能できる同企画展では、その旺盛な制作力と根底にある情熱が伝わってきます。

2015年に亡くなってから10年、その節目に、氏が愛した横浜の地で、柳原良平ワールドにひたってみてはいかがでしょうか。

ミュージアムショップでは、関連グッズも多数あるので、お土産や記念にもおすすめです。

企画展にあわせて新商品も並びます。ミュージアムショップに立ち寄ることもお忘れなく!
企画展にあわせて新商品も並びます。ミュージアムショップに立ち寄ることもお忘れなく!

概要

会期 2025年8月9日(土)~10月13日(月・祝)
※休館日は月曜日(祝日にあたる場合は開館し、翌平日休館)
※ただし、2025年9月22日(月)は特別開館

時間 10:00~17:00(入場は16:30まで)
場所 横浜みなと博物館 特別展示室Google map エリア みなとみらい21
料金 一般500円/65歳以上400円/小・中・高校生200円(税込)

<お問い合わせ>
帆船日本丸・横浜みなと博物館 TEL: 045-221-0280

URL

【公式】横浜みなと博物館 柳原良平没後10年 企画展「柳原良平をかたちづくるもの―船・アンクルトリス・そして横浜」

【横浜観光情報】柳原良平没後10年 企画展

【横浜観光情報】ありあけ「柳原良平画伯を偲ぶフェア」

港ヨコハマに流れ着いた引っ越し多めのバガボンド。
MBTI診断は冒険家型。趣味は旅行(建築探訪、史跡巡り)、数独、野球、相撲、洋画、洋楽。
好きな横浜スポットは、ナイターに浮かび上がる横浜スタジアム、街中のオアシス元町公園水泳場。
出掛けてみたくなる、横浜の話題を幅広くお届けします。

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