大佛次郎記念館は、第47回大佛次郎賞受賞作『金閣を焼かねばならぬ　林養賢と三島由紀夫』（河出書房新社）の著者で精神科医の内海健氏による記念講演会「金閣炎上―理性と狂気の出会い」を、2021年6月27日(日)、横浜市開港記念会館にて開催します。

内海氏は、放火僧・林養賢が、統合失調症（当時で言う分裂症）を発症する途中過程で金閣を放火したと分析。当時の誰もが林養賢の動機を看破しない中、三島由紀夫だけが小説『金閣寺』の中で正鵠を射ていたことを、精神病理学のみならず、哲学、文学などのジャンルを超えた幅広い知見から追及・分析しています。

1950年に起きた金閣放火事件は、戦後の事件の中でも特筆すべきものですが、さらにそれは三島由紀夫の『金閣寺』（1956年）によって特権的な輝きを放つようになりました。なにゆえに三島は、美というものを経由して、放火僧林養賢の真実を穿つことができたのでしょうか。対極的な精神病理をもち、それぞれ違った方向に旅立った二人がいかにして邂逅したのか、精神科医の立場から今一度読み解きます。