かつて米軍のエリアワンと呼ばれた地域に建つムーンアイズで、
南カリフォルニアのライフスタイルに触れてみる。
みなとみらいも見た。中華街も行った。お土産も買った。だが、それだけで横浜を立ち去ってしまうとしたら、じつに残念なことだ。入口だけをみて帰るというはめにならないよう、ここはひとつクルマで横浜を流す愉しみを味わっていただきたい。丘陵地帯を擁する本牧は、その点でうってつけのドライブエリアだし、横浜そのものともいえる場所だ。かつて市電が走っていたから軌道のはずされた道は広々として走りやすいうえ、なによりクルマ好きの聖地ともいえる店もある。そう、ムーンアイズである。ベイブリッジからにせよ、山手トンネルから抜けていくにせよ、本牧通りに面してアメ車が停められた特徴的な店構えはすぐに目に飛び込んでくるはずだ。はやる気持ちを抑えて、店の前をゆっくり通り過ぎよう。次の角を左折すると店の裏側にある駐車場にクルマを停められる。で、一歩クルマから降りれば、そこがアメリカのクルマとライフスタイルのど真ん中というわけだ。めったにないカーアクセサリーやパーツを探し回るのもいいし、トレーナーやバッグなど、ムーンアイズっぽい雑貨を見て回るのもいい。小腹が空いてきたら併設されているムーンカフェでタコス料理をつまむのもおすすめだ。入口だけでないインサイドの横浜に来たと実感するのは、こんな時ではあるまいか。
横浜市中区本牧宮原2-10
TEL 045-623-5959
営業時間:[月~土]11:00~20:00、[日・祝] 10:00~20:00
年中無休
http://www.mooneyes.co.jp/
クルマならいつもと違う横浜が見えてくる。
大黒埠頭から本牧埠頭の横浜港シンボルタワーへ。そして山手へ。
横浜の典型なのに、なかなか見ることができない横浜といえば埠頭かもしれない。そこで、ふだん見えにくい横浜をクルマで訪ねてみるのはどうだろう。となれば最初に行ってみたいのは、本牧埠頭だ。埋め立てで作られた横浜港初の島式埠頭だという。まずここへ向かってみる。第一京浜からだと生麦あたりで大黒埠頭への案内表示が出るので、それに従って走ればいい。大黒埠頭では適当にクルマを流し、ベイブリッジの下層部を走って本牧埠頭に向かう。この下層部は国道357号。眼下に広がる横浜港の光景は素晴らしい。おびただしい船の姿に、横浜がやはり港町なのだということを実感させられるだろう。本牧埠頭ではD突堤に向かう。ここには駐車場もありクルマを停めるとすぐ目の前に横浜港シンボルタワーが建っている。ここらへんで日の暮れるまで過ごすのもいいし(付近には海釣り桟橋もある)景色を楽しんだらすぐに移動してもよい。埠頭と埠頭をつないだ後は、外国人居留地だった山手まで登るのも面白いだろう。いくつかの西洋館は中を見学できるよう開放されている。(たいてい17時まで)。近くの港の見える丘公園からは走ってきたベイブリッジや大黒埠頭も見えるし、夜景を楽しみながら食事のできるレストランもある。横浜をクルマで流すなら、ここあたりがまずは締めくくりにふさわしいスポットだろう。
美しい地名に惹かれて三渓園あたりから金沢八景へ。
思いがけない光景に出会えるのも、ドライブの楽しみだ。
横浜へドライブといえば三渓園や三井アウトレットパークへ行く人も多いだろう。しかし、どうせなら来たついでにもう少しクルマを走らせ、金沢八景あたりを流してみるのをおすすめしたい。首都高湾岸線を走れば、三渓園あたりからも近い。だいたい地名が美しいではないか、金沢八景。で、降り立ってみると、なるほど入江が陸地に深く入り込んで、独特の景勝を形づくっているのがわかる。歌川広重が描いた往時の風情はないのだろうが、それでも心惹かれる風景だ。この入江、平潟湾を渡る夕照橋(ゆうしょうばし)という小さな橋を渡ってみる。白く塗られた小橋だが、夕照橋という名前から想像するに、夕陽が当たるとさぞ美しいのだろう。神奈川の名橋100選に選定されており、白く塗られているのも、夕陽の美しさを引き立てるためかもしれない。橋を渡ると、野島という小さな島に作られた公園に出る。野島公園である。駐車場が整備されているのでクルマを止め、あたりを散策すると、立派な古民家があり、なんと明治の元勲の一人、伊藤博文の別荘ということがわかる。驚くのがこの別荘が海に面していることだ。庭から釣り竿を出せば魚が釣れる距離である。あたりを歩くと砂浜も作られ、10分ほど徒歩で登れば海抜57メートルの野島山山頂だ。やはり美しい地名の土地には来てみるものである。クルマで来てよかったと思える絶好のロケーションなのだ。