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呼び込みの声を浴びながら買い物を楽しみたいなら、ここがいい。
懐かしくも楽しい昭和の商店街。

「ハマのアメ横」と称されている商店街をご存じだろうか。正式には、横浜洪福寺松原商店街。ちぢめて松原商店街と呼んだりする一角である。戦後、近くにある洪福寺の門前商店街と合併してできた昭和の商店街だが、土地柄は古く、旧東海道に沿って立ち並ぶ商店街だ。東海道といえば弥次喜多道中の印象もあり江戸期を思い浮かべるが、さかのぼれば古代律令制の時代にひらかれた五畿七道(ごきしちどう)のひとつ。相当に由緒ある古さである。その歴史ある道に、いま八百屋、鮮魚店、布団屋、煙草屋に和菓子屋、惣菜店、乾物屋などが立ち並び、男女の商店主たちの呼び声が飛び交っている。野菜は地元横浜産。鮮魚は神奈川、静岡の港から直接仕入れたものが多いという。自分で仕入れ、自分で売るのだから、いきおい商品知識もたっぷりで、会話しながらの買い物が楽しめる。冬の時期ともなると、衣料品店には、昔懐かしい綿入れ半纏もぶら下がり、ダウンベストの代わりにどうかと勧められたりもする。買い物に疲れたら、ほどよいところに落ち着ける喫茶店もあり、まさによくできた昭和の商店街なのだ。

洪福寺松原商店街は、相鉄線「天王寺駅」から旧東海道を横浜方面に向かって歩き6分ほど。けっして恵まれた地の利があるというわけでないのに、これだけ人が買い物に来るのは、やはり安くていい品がそろっていることに加え、商店街としての雰囲気のよさもあるのだろう。

学生街としての一面をもつ六角橋商店街。
何気ない店があなどれない名店だったりする。じつに奥深い。

戦前から続く活気ある商店街が多い横浜のなかでも、六角橋商店街は活気のよさで、ほかのどの商店街にもひけをとるまい。それというのも、ここ六角橋商店街は学生街としての一面もあわせ持つ商店街だからだ。1930年(昭和5年)に神奈川大学がこの地に移転してきて以来、それまでの店に加えて、学生向けの店なども増えてきたという。気取らない洋服屋、惣菜屋、リサイクルショップなどが立ち並ぶのは、ほかの商店街と変わらないが、そこにこだわりのギターショップがあったり、目利きの店主が営む古書店があったりするのは、やはり大学生が多い街ゆえだろう。オーセンティックバーからカジュアルな感じのバーまで、バーの数が十指に余るほどあるという商店街も全国的にみて珍しいのではあるまいか。昔ながらの金魚屋さんを通り過ぎると、隠れ家ふうのバーがあったり、落ち着けるカフェがあるのもこの商店街ならではかもしれない。間口半間で営業している靴の修理屋さんが、じつは高級ブランドの靴のリペアではトップクラスの技術をもっていたりするのだが、そんなところもこの商店街の魅力だろう。

六角橋商店街は、東急東横線「白楽駅」西口を出てすぐ。六角橋に至るまでの300メートルほどの区間にある。メインとなる六角橋商店街と平行してある六角橋商店街仲見世も見逃せない。近所に住んでいる人がうらやましくなるほどの充実ぶりだ。

寄席を出れば、あたかもよし、街は灯ともし頃。
すでにやわらかく色づき、潤みはじめている。

野毛あたりは散歩の黄金地帯である。図書館あり、動物園あり、由緒正しい神社があるかと思えば、べろべろに酔える居酒屋からマニアックな古書店までがある。それゆえ、大いに人は迷う。なにはともあれ、野毛らしく昼間から飲ませる店で軽くビールを始めるべきか。あるいは、人情噺でも聴きに、にぎわい座に行くべきか。人気の噺家ともなればチケットはあっという間に完売だが、二ツ目あたりが一生懸命語る噺も悪くない。そうそう、なによりにぎわい座ならば、アルコールもOKではないか。かくして、しばし計算を巡らし、にぎわい座の木戸で当日券を購って、ひととき落語を楽しんだりするのだ。寄席を出れば、あたかもよし、街は灯ともし頃。通りを越えて野毛に渡れば、すでに街はやわらかく色づき、潤みはじめている。この先は、自由である。迷うことなく歩き、おもむくまま入るがいい。いずれの店に入ろうとも、そこは野毛。酒肴にはずれなく、会計は懐にやさしい。かくして、もう一軒、あと一軒といった仕儀になるわけだが、それこそ、大人の夜の散歩の醍醐味というべきか。

にぎわい座はアルコールがOKの寄席。一階席では、背もたれの後ろに棚がついているため、缶ビールなどを置いたりもできる。とはいえ、芸を楽しみに来ているのだから、ほろ酔い程度にとどめておくのがマナーというもの。

食べる。遊ぶ。観る。
この密度の濃い360mが、戦前から続く横浜橋商店街。

歩いていて楽しい商店街というのは、最近そうざらにあるものではない。だが、そのざらにない商店街が、ここにはある。横浜橋商店街である。全長およそ360mの中に、ネイルサロンに不動産、整骨院にヘアサロン、靴屋にパチンコ、和装品店が櫛比(しっぴ)し、それらの合間に、蕎麦屋、天丼、中華料理に、うなぎ、とんかつ屋。さらに加えて、お好み焼き屋に定食屋、ふぐ料理に喫茶店と林立しているのだから、にぎやかなこと、この上ない。そしてまたにぎやかというのは、楽しく、人をひきつけるものなのだ。行き交うのは、大人たちだけでなく、地元の子どもたち、外国人の姿も。この密度の濃い360mが、横浜橋商店街といえるだろう。まだ人通りの少ない朝もよし。夕餉のしたくでにぎわう午後遅い時間もよし。散歩を楽しむ延長で、戦前から続くこの商店街を歩いてみてはどうだろう。横浜橋商店街が途切れる通りを渡れば、こちらは全長わずか30mほどの三吉橋商店街。その角には三吉演芸場があり、こちらは大衆演劇の常打ち劇場。まさに横浜の下町にふさわしい舞台ではないか。

三吉演芸場は、大衆演劇の殿堂ともいうべき劇場。横浜がハイカラなだけではなく、股旅物の創始者である劇作家・長谷川伸が生まれ育った土地であることを思い出させてくれる。
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