KAAT(神奈川芸術劇場)での観劇体験

常松真菜(第15代横浜観光親善大使)平成29年10月31日

みなさま、こんにちは!
平成29年度横浜観光親善大使の常松真菜です。

この度、KAAT(神奈川芸術劇場)で公演中の、「作者を探す六人の登場人物」を拝見してきました!

あらすじを紹介しますと…
ある劇団が芝居の稽古をしていると、「父親」「母親」「継娘」「息子」、そして男女2人の子供という6人の奇妙な人物たちが訪ねてくる。
「私どもは作者を探しております。」父親が言う。自分たちは作者に拒絶され、見捨てられ、行き先の無い登場人物で、自分たちの中にあるドラマを完成し、表現してくれる新しい作家を探しているのだという。
座長ほか劇団員たちは、初めはその唐突な話に呆れ、取り合おうとしないが、彼らがそれぞれの人生を語るうち、彼らのドラマに魅せられてゆく。
(KAAT HPより)

劇場に足を踏み入れると、そこはまるでおとぎの世界。客席まで装飾がほどこされた劇場のつくり、とにかく近い俳優の方々との距離感、こちらにも熱がひしひしと伝わる迫力の演技、現実世界とリンクした細やかな演出ーーどんどんその世界にのめり込んで行きました。
この1回だけでなく、違う席に座って、違う人物に注目しながら、もう一度新たな視点で見てみたくなりました。

ユーモアもふんだんに散りばめられていて、思わずクスッと、時には声をあげて笑ってしまいました!
その一方で、「登場人物」という存在から浮かび上がったのは、いつの時代にも通ずる問いかけでした。

「あなたは誰ですか?」
設定が「定めている」登場人物たちはすぐに答えられます。しかし私たちは…
でもそれは、私たちが「定められていない」からこそ。自らの歩む道を自ら選択できることが、いかに恵まれたことなのか。

登場人物たちをのこして筆を置いてしまった作者のように、自分はなにかを置き去りにしたり、ないがしろにしてしまっていないか。

本物と完全に一致することが難しい中で、「演じる」とはどういうことなのか。

登場人物、劇といった虚構と私たちが生きる現実に境界線はあるのか。

原作は100年近く前に描かれたものにもかかわらず、こうした問いかけの不滅性、そして今の時代ならではの演出の工夫が相まって、とても新鮮なものに感じられました。

公演が終わった後もずっと、後から振り返ってその世界に浸り、思いをめぐらせてしまうような、そして、考えれば考えるほど新たな視座に気づかされ、感覚を研ぎ澄まされるようなーーそんな作品でした。

KAATの劇場内も、とても美しく落ち着いた、芸術を楽しむのにふさわしい重厚な空間でした。

みなさまにもぜひ、生のこの世界観にふれていただきたいです!公演は11月5日まで。お見逃しなく!

公式サイトURL:http://www.kaat.jp/