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YOKOHAMA MAP

都会にある渓谷に下り立ち、つかのま幽谷の雰囲気を味わう。
これもまた横浜という都市の魅力。

都会で探検といえばあくまで比喩。高層ビルを森に、路地裏をけもの道に見たてる言葉遊びのたぐいでしかないが、横浜にはれっきとした探検を実感できるエリアがある。陣ヶ下渓谷である。公園として公開されたのは2004年の近年であるが、その名は鎌倉時代の御家人にして侍所別当であった和田義盛が狩りの陣を張ったことに由来するという。たしかにここ保土ケ谷は、起伏の激しい地形で、中世のころはさぞ見晴らしもよく、狩りをするにはうってつけの土地であっただろう。そして狩りで渇いた喉を武将たちが、この渓谷の水でうるおしたかもしれない。水流の源頭はどこにあるかさだかではないが、湧水が出ていることはまちがいなく、公園の駐車場から歩いて10分もかからずに、渓谷に下り立つことができる。登山で渓流に慣れている人なら、遡行してみたくなるきれいな渓谷だが、都会で珍しいホタルの幼虫がいるため遡行は禁止。渓谷のせせらぎとひんやりした深山幽谷の雰囲気を味わうだけにしておこう。渓谷を楽しんだあとは、深い木立のあちこちに置かれたベンチに座って、ひととき憩うのもいい。野趣あふれるウッドテーブルの上では、コンビニで買ったサンドイッチと紅茶でもあれば無上のごちそうになるだろう。

陣ヶ下渓谷公園

横浜市保土ヶ谷区川島町1514
駐車場あり(普通車20台)
駐車料金:30分100円

昼なお鬱蒼とする木漏れ日の古道を歩く。
いにしえの人の息づかいが聞こえるような道である。

朝比奈切通しといえば、鎌倉時代の昔を偲ばせる古道としてあまりにも有名だが、同時に、名のみ高くして歩かれざる道としてもまた筆頭であろう。かつては馬上の武士たちがおそらく馬をおりて荒い息づかいで手綱を引いて歩いたはずの道である。あるいは輿(こし)に乗った女人が思いを胸に通った道であっただろう。だが、往事茫々。人びとの姿は消え、ただ昼なお鬱蒼として木漏れ日のさす狭い切通しだけが残っている。横浜と鎌倉にまたがるこの切通しを、横浜側から歩く。ところどころに標識があるから迷うことはない。横浜横須賀道路の下をくぐり、江戸期になって祀られた庚申塚を右手に登りはじめる、すぐに両側から崖が迫ってくる。鎌倉に入る切通しである。道はよく踏まれ、晩秋ともなれば落ち葉で埋もれる。両側に露出する岩は凝灰岩だろう。鎌倉に多いこの岩は、その柔らかな岩質から「やぐら」という横穴式の墳墓を造る格好の土台となった。そのやぐらのそばに、亡き人を見守るように磨崖仏(まがいぶつ)が彫られていたりするのもなにやら想像をかき立てられる。鎌倉時代の史書『吾妻鏡』によれば、この切通しを整備したのは北条泰時。だが、和田義盛の子で勇猛な武将として知られる朝比奈義秀が一夜でひらいたという稗史(はいし)もある。地名に残るその名を偲んで歩くのもまた一興か。

朝比奈切通し(朝夷名切通し)

横浜市金沢区朝比奈町峠坂1番地
京急「金沢八景」駅から神奈中バスで10分
「朝比奈」バス停から徒歩5分